当ブログ筆者は、LogicoolのM570トラックボールマウスを使っています。超人気なトラックボールマウスというのは実際に使っていて実感しています。2020年には後継モデルのM575も発売されましたね。
M570の難点としては、買った直後のころは快調ですが、長期間使用するとトラックボールを支える白い小さな支持球(セラミック球)が摩耗するのか、トラックボールのすべりが悪くなることですね。こうなると、いくら支持球の掃除やボールのハンドクリーム(潤滑油)コーティングをしても全快はしません。
この問題は支持球部分をベアリング化する改造を行うことで解決できます。
筆者もM570をベアリング化する改造を行いましたので、記事にまとめました。
ちなみに、筆者はセラミックボールの摩耗を感じるたびにM570を買い足した結果、手元のM570が3台になりました。内2台はすでにベアリング化改造を行っていまして、最後の1台を改造する過程を記事にまとめています。
ベアリング化改造前後の比較
ベアリング化したM570と未改造M570のトラックボールの、すべりの比較です。
ベアリング化されている方は、シャーーーーッ!と軽快にボールが転がります。使っていてボールの引っかかりが全然なく、とても快適です。また、ホコリ掃除もほとんど行わなくてよいので、とても快適です。
それぞれいつ買ったものなのかは忘れたのですが、動画左側のは、スイスLogitechのロゴが印字されてますね。
どっちもAmazonで買いましたが、ポチるタイミングによっては、並行輸入品とやらが送られたのかもしれないです。
※ややこしいですが、皆様ご存知のLogicoolは、スイスのLogitech社が日本で販売するときのブランドです。
そしてまた一方皆様ご存知のLogitecは日本のエレコム社のブランドです。
本記事以下では、上記の動画左側のベアリング未改造のマウスを、ベアリング化改造した過程を記載します。
使った道具/材料
部品として利用したベアリング/シャフトと、マウスを加工するのに使った主な道具を下記に示します。
真似する方はご参考まで。
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材料
- ベアリング
内径2mm、外径5mmのベアリングを採用しました。
外径5mmがちょうどよいかと。 - シャフト
上記のベアリングの内径に合わせた2mm経のシャフトを採用します。
なお、筆者が購入したベアリングもしくはシャフトは精度が甘く、買ったままではうまく組み付けられませんでした。そこでシャフトを耐水ペーパーで少し研磨して細くする加工を行います。 - エポキシ系接着剤 2液混合タイプ
金属シャフトとマウスの樹脂部品を接着するので、接着対象を選ばない万能&超強力接着剤として。また、接着作業において即座に硬化し始めるもののほうがよいので、2種類の液剤を混ぜたら硬化が始まる2液混合タイプを選択しました、
- ベアリング
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道具類
- ハンディリューター
- ピンバイス
- ドリルビット
- ダイヤビット
いずれもM570を加工するのに使います。樹脂部品を削って、ベアリング+シャフトを接着する台座を作ります。
ミスターマイスターのペン型リューターなら、3爪チャックを備えているので、シャフトの研磨にも使えます。
東洋アソシエイツ 小型ペンタイプツールPTーαII(アルファ・ツー) 61103
使った材料は以下のものになります。
ミニチュアベアリング 【NMB】 ステンレス 両シールド付 DDL-520ZZW52 内径2mm×外径5mm×幅2.5mm (4個入り)
uxcell RCおもちゃ車 20枚10mmx2mmステンレス鋼製ストレートシャフト丸棒
材料の前加工
筆者が購入したベアリング・シャフトの組み合わせでは、シャフト経がベアリング内径よりもわずかに大きく、買ったままの状態ではうまく組み付けられません。そこで、ベアリングに組み付けられるように、シャフトを研磨して細くします。
リューターの3爪チャックにシャフトを噛ませて、回転させながら当て木に巻いた耐水ペーパーに当てて研磨します。
ごくごく僅かに細く削って、ベアリングと組み付けられるようになりました。
同様にして、ベアリングとシャフトを組み付けたものを3組用意します。
M570の加工
上記で作成したベアリングとシャフトをM570に組み付けられるように、M570を加工します。
完成図としては、下記の写真のように、ボール受けの部品にベアリングシャフトを取り付けるための溝を彫ってベアリングシャフトを接着します。
分解
まずはM570を分解して加工を行う部品を取り出します。
底面のネジ5箇所を外します。1個は電池ケースのシールをめくるとあります。
そういえば、Logicoolブランド表記のM570は固定ネジが星型のトルクスネジでしたが、スイスLogitech表記のM570はネジが普通のプラスネジですね。
ネジを外してトップカバーを外し、ボール受けを取り外します。
ボール受けからセンサを取り外します。
このボール受けを加工します。加工時に削りクズが出ますので、ボール受けに組み込まれているレンズ?に付着しないように、養生しておきます。
干渉部分の切り落とし
ベアリングシャフトを装着するにあたって、干渉する部分をニッパで切り落としておきます。
まずはボール受けの、マウス底面と接触していた部分のでっぱりを、下記写真の通りに切り落とします。
まずは↓のラインで。
次に、↓の赤枠内の部分を。
最終的にはこうなります。
下記写真の、青丸の部分は、絶対に切り落とさないように。マウスに乗らなくなります。
マウスの底面パーツも、上記写真の青丸内の残したでっぱりが差し込まれる分だけ残して、ボール受けを接続していた箇所のでっぱりを切り落とします。
ボール受けの加工
取り外したボール受けからセラミックボールを除去し、その後にベアリングが顔を出すための穴とシャフトを受けるための溝を作ります。
まずはダイヤビットでセラミックボールを保持している出っ張りの部分を削り落とします。
出っ張りを削りきれば、セラミックボールが外れます。
次に、ベアリングを通すための穴を開けます。楕円を開けたいので、セラミックボールがくっついていた部分の両サイドに、小さく穴を開け、さらに大きな経のドリルで穴を広げ、最後に穴の間に残った部分を精密ニッパやデザインナイフ等で除去します。
あとはこの穴をダイヤビットを装着したリュータで削って、ベアリングが通せる程度の穴に広げます。
シャフト受けの加工
ベアリングを通せる穴が開いたら、ベアリングを保持するシャフトを受けるための溝を彫ります
もともとセラミックボールがあった位置の真後ろの位置にマーキングし、丸溝を彫り込み始めます。
丸棒のダイヤビットが便利です。
溝ができました。ここにベアリングを抱えたシャフトが乗っかります。
ベアリングのエッジが1mm 頭を出す程度の深さに溝を彫ります。
残りの2つの穴に関しても同様に行います。
いい感じまで彫れたら、テープで仮止めして組み立てて、マウス操作を行えるか動作確認しながら調整しましょう。
面倒ですが、カバーも閉じてカバーとボールが干渉しないかも確認しながらのほうがベターです。
動作確認と調整を繰り返し、これでバッチリ!となったら、アルコールで湿らせたキッチンペーパーで切り粉を拭き上げて削り加工完了です。
ベアリング・シャフトの接着
溝を彫り込んだマウスのパーツと、ベアリングシャフトを接着します。
ベアリングシャフト1個の接着につき、約15分間身動きが取れなくなります。
テレビ等を見ながらの時に作業するのがよいでしょう。
接着剤は、2液混合タイプのエポキシ系接着剤を使用します。
筆者はダンボール板にビニールテープを貼って即席のパレットを用意します。
2液を混ぜてから接着剤の硬化が始まり、15分後に安定するので、キッチンタイマーで液を混ぜてから15分間計ります。
接着液を混ぜてから手早くマウス部品の溝の上に数滴、接着液を盛り、その後また手早くベアリングシャフトを乗せ、シャフトの上にも接着液を数滴盛ります。
盛りすぎるとベアリングに垂れるので、盛りすぎないように。
あとは接着液が着いていない部分(ベアリング部分等)をピンセット等でタイマーが15分をカウントダウンしきるまで押さえて固定します。
3個分繰り返しあとは、完全に硬化するまで数時間(1晩程度)置いておきます。
接着剤が完全に硬化すると、混ぜたときに空気が混ざっていたら気泡の関係?で白っぽくなりますね。
組み立て
加工が終わったボール受けを取り付けて、M570を組み立てます。
うまく作れていれば、これで完成です!
微調整
筆者は今回は溝を深く彫りすぎました。ボールとマウスのカバーが干渉し、ボールがうまくすべりませんでした。
ボール受けの奥側の溝を深く削りすぎ、ベアリングの頭が出っぱり過ぎるためか、トラックボールが加工前よりも上に僅かに浮き上がり、カバーと干渉してしまいました。
カバーの干渉する部分をデザインナイフで少し切り落とします。
ただしこれをすると、マウスからボールが外れやすくなるので、なるべくここは無加工で済むように、溝の加工で失敗しないようにするのが望ましいです。
微調整が終わってこれで完成です!なめらかにスイスイとボールが動きます!
まとめ
LogicoolのM570トラックボールマウスを、ベアリング化する改造する過程をまとめました。
改造後は、セラミックボールが新品のときよりも快適にボールが転がるようになるので、とても快適になります。
加工にはかなりの手間と時間がかかります。
やってみたい方の参考になりましたら幸いです。
オマケ
ちなみに、M570がすぐに摩耗するので、すがる想いで一度MX ERGOも買ってみたのですが、結局構造は同様なのでその当時は解決には至らず😭
こちらもそのうちに改造ですね。
M570のマウス本体が壊れてしまったら、今度は新しくM575を購入してそちらも改造してみましょうかね。
M575の分解レビュー記事を参照したら、ボール受け部品の部品形状はM570と異なるようなので、作ったベアリングボール受けが使い回せないのは残念ですが。
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